「健康診断で病気が発覚!来週からしばらく入院することになってしまった・・・。」
「週末旅行に出かけて怪我を…当面は自宅療養で働けない・・・。」
こんなときには働けない。有給休暇も残ってない。欠勤決定。
「お給料がもらえない!明日からの生活、どうしよう・・・。」
誰もが抱える漠然とした不安。そんな不安を解消してくれる「傷病手当金」をご存知ですか?もしものときに生活を支える傷病手当金。この制度について勉強しましょう!
目次
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働けなくてもお金がもらえる「傷病手当金」。これっていったいどんな手当なのでしょう?傷病手当金とは、病気やケガで仕事を休み、給与等を受けられないとき、その間の生活保障として支払われるお金のこと。
「業務中」や「通勤途中」の怪我や事故などで働けなくなってしまったときは、「労災保険」が守ってくれます。一方で、仕事とは関係のない理由で働けなくなってしまった場合も、傷病手当金が、あなたの生活を守ってくれるのです。
さて、この傷病手当金とは、どんな人がもらえるのでしょうか?傷病手当金は、勤務先の社会保険(健康保険)に加入していれば、誰でも受け取ることが出来ます。雇用形態は関係ありません。派遣社員でも、契約社員でも、もちろん正社員でも、受け取ることができます。いつ何が起きて仕事ができなくなってしまうかは分からない世の中。こういった制度があると知っておくのも大切なことですね。
働くあなたに安心を提供するこの制度。実際どうすれば「傷病手当金」を受け取ることが出来るのでしょうか?なんと、待っていれば自動的に貰えるというわけではないんです。傷病手当金を受け取るには、受給条件を満たした上で、申請をしなくてはならないのです!
「傷病手当金」を受け取るためには、申請が必要であることはわかりました。では、社会保険に加入していて、申請さえすれば、誰でも受け取ることが出来るのでしょうか?実は、そうではありません。傷病手当金を受給するには、次の条件すべてを満たす必要があるのです。
(1)病気や怪我のための療養中のとき
仕事ができない状態であることが必要です。入院しているとか、自宅療養とか。また、病気は治ったけれど、安静にしていなければならない期間も対象になります。仕事ができない状態か否かは、お医者さんの意見書や、会社(事業主)の証明書等により正否を判定します。
(2)連続して3日以上休んだとき
「傷病手当金」を受け取るためには、3日以上連続して休むことも条件です。2日間連続で休んだ後に1日出勤、その後、1日休むといった場合はNGです。あくまでも3日以上連続して休むというのがポイント。この、仕事ができない状態になってから、はじめの3日間を「待期期間」といいます。待期期間には傷病手当金は支給されません。支給対象となるのは、4日目からです。ちなみに、待期期間には、有給休暇、土日祝等の公休日も含まれます。給与の支払いがあったかどうかは関係ありませんので覚えてきましょう。
(3)給与等の報酬を受けられないとき
「傷病手当金」を受け取るためには、お休みの間、会社から給与が支払われていないことが条件です。会社の支援制度や有給休暇の使用によって、給与が支払われている場合は、受け取ることが出来ません。ただし、給与が支払われていても、その額が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。
「傷病手当金」を受け取るためには、以上の3つの条件を満たすことが必要です。ここまで読んで素朴な疑問。
「インフルエンザで1週間休んだ場合も申請できるのか?」
そう思った方、いらっしゃいませんか?そう、インフルエンザでも申請できるんです!万が一、有給休暇がなくたって、傷病手当金でインフルエンザでの欠勤分を補填することも出来るんですよ。
「傷病手当金」をもらえる条件がわかったところで、次に気になるのは、その支給額。一体いくらもらえるのか?有給休暇とどっちが多くのお金を貰えるのだろうか?金額によっては、有給休暇を使うのか、有給休暇は取っておくのか、いろいろ考えたいところです。具体的な支給額も事前にきちんと把握しておきましょう。
傷病手当金の「一日あたりの金額」は、「傷病手当金の支給開始月を含む直近の12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額」です。
① 傷病手当金の支給開始月を含む直近12ヶ月の「各月の標準報酬月額」を算出
② ①で算出した「各月の標準報酬月額」を足した額を12で割り、「各月の標準報酬月額を平均した額」を算出
③ ②で算出した「各月の標準報酬月額を平均した額」を30で割り、「一日あたりの標準報酬額」を算出(1の位を四捨五入)
④ ③で算出した「一日あたりの標準報酬額」に「3分の2」をかけて、「一日あたりの傷病手当金額」を算出(小数点第1位を四捨五入)
例えば、傷病手当金の支給開始月を含む直近12ヶ月の各月の標準報酬月額を算出してみたところ、26万円の月が2ヶ月、30万円の月が10ヶ月であった場合、
(26万円×2ヶ月+30万円×10ヶ月)÷12ヶ月÷30日×3分の2=6,520円
※「30日」で割ったところで、1の位を四捨五入
※「3分の2」で計算した金額に小数点があれば、小数点第1位を四捨五入
となり、「一日あたりの金額」は、「6,520円」となります。
働けない状況で、「これだけ貰えるのはありがたい」と思うか、「少ないな」と感じるかは人それぞれ。ただし、傷病手当金は、非課税なので、支給額から税金が引かれることもありません。
病気や怪我のために、今まで行っていた業務ができない場合や、全体業務の一部しかできないという場合でも、「勤務できない状況」と認められ、傷病手当金の支給の対象となります。その際、一部の業務を行うことで、給与等の報酬を受けている場合でも、その額が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。
では、この傷病手当金、いったいどれくらいの期間、受け取ることが出来るのでしょうか?傷病手当金の「支給期間」は、休業した日を起算点として、暦の上で1年6ヵ月間です。例えば、2017年10月1日から休業した場合は、2019年3月31日までが支給期間になるのです。仮に療養期間が長期化してしまい、2019年5月1日に復帰した場合、4月1日~4月30日の間は、傷病手当金は支給されなくなってしまいます。また、療養期間中、途中具合がよくなり仕事に復帰したものの、同じ理由で再びお休みした場合であっても、4月1日以降は、傷病手当金は支給されなくなりますので注意が必要です。
もうひとつ大切なことがあります。それは事後申告の場合のルールです。傷病手当金は、事後申告が可能です。つまり、病気療養から復帰した後にも、傷病手当金を申請することが出来るんです。その期間は2年間。勤務できない状況となった日の翌日を起算日として、過去2年間さかのぼって申請することが出来るのです。「そういえば、去年骨折で2週間くらい休んだなぁ」なんてあなたは、条件に当てはまるか確認した上で、会社に相談してみましょう。
退職すると、今までの健康保険の給付を受けられなくなります。傷病手当金をもらえるのは、健康保険に加入しているひと。従って、健康保険を抜けてしまえば、傷病手当金の対象からも外れてしまいます。ただし、退職時に傷病手当金を受けており、病気や怪我で働けない状況の場合は、以下の条件を満たすことで、退職しても、引き続き給付を受けることができます。
・退職する時までに、1年以上被保険者期間があること
・退職日の前日までに傷病による連続した3日以上の休みがあること
・退職後、雇用保険による失業給付を受けていないこと
入社して1年未満で病気や怪我で働けない状況となった場合は要注意!在籍中は申請できるけど、そのまま辞めてしまったら、傷病手当はもらえなくなってしまいます。また、受給期間は1年6ヶ月ですので、この期間を超えてしまった場合も、受給資格を失います。失業給付を受けていないことが条件になっているように、老齢厚生年金等を受給している場合も、支給の対象外となります。しかしこの場合は、年金等の額が傷病手当金の額を下回るときは、その差額が支給されます。
「傷病手当金」の制度、受給資格や金額が分かったら、あとは申請するのみ。なぜなら、この傷病手当金、申請しなければ支払われない制度なのです。一体何を揃えて、どうやって申請すればいいのでしょうか?
必要なのは「申請書類」。この書類には、被保険者(傷病手当金も受け取る人)、事業主(会社)、療養を担当した医師、それぞれが記入する欄があります。
そこで、まずは、会社の担当部署へ相談。会社によっては、全ての書類を用意し、申請してくれる場合もあります。仮に会社が申請してくれる場合であっても、担当医師に必要事項の記入を依頼することは、自分で行います。
会社の担当部署が無く、自分で申請する場合は、加入している健康保険のWEBサイトや問合せ窓口より、申請に必要な書類を確認。申請書類を用意し必要事項を記入します。そして、事業主(会社)側が記入する欄への記入を依頼します。申請には、「タイムカード(出勤簿)」や「賃金台帳」のコピーを添付する必要があるので、相談しながら進めましょう。記入が終わり、書類が全て揃ったら、加入している健康保険の協会、組合へ提出します。
「傷病手当金」は、いざという時の生活サポートとして大切な制度です。知っておけば、病気や怪我の際もスムーズに申請手続きを行うことができます。一方、知らなければ、申請を行うことが出来ず、傷病手当金を受け取ることすら出来ません。会社は絶対休めないと気を張っていても、人間だから、いつ、どうなるか分かりません。また、過去に療養期間があったけど、「もう遅いだろう」と諦めてしまっている方も、2年以内であれば申請が可能です。しっかり過去を振り返り、療養期間を明確にして、2年以内であれば、申請してみましょう。申請するためには、書類を準備したり、お医者さんに記入をお願いしたり、すぐに準備や申請が完了するとは限りません。収入が途絶える心配をしなくても済むよう、早め早めに手続きを行い、傷病手当金を受け取れるようにしましょう。
~参考サイト~
東京都情報サービス産業健康保険組合~病気やケガで会社を休み、給与が得られない(傷病手当金)~
https://www.tjk.gr.jp/insurance/case/kenpo-20_shobyou
全国健康保険協会~病気やケガで会社を休んだとき~
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139
国税庁~給与所得以外に、「傷病手当金」、「育児休業手当金」を受け取った場合~
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1400_qa.htm