2020年09月09日

派遣社員の私のお給料、やっぱりピンハネされていました

派遣会社はお給料をピンハネしてるの?

初めての派遣社員。働きはじめてもうすぐ1年。派遣社員として任される仕事も徐々に増えてきた。もちろんやりがいも感じている。でも、どうしても心にひっかかることがあります。

先日たまたま目にした記事。そのタイトルは「派遣とピンハネ」。派遣先はお給料よりかなり大きな額を派遣会社に払っている、派遣会社がそこから結構な金額を懐にいれている。派遣社員のお給料はピンハネされているという記事。

そういえば、担当のあの人、身なりはとても小綺麗だ。腕時計は高級ブランドのアレだった。バッグもお洒落なものだったな。でもそれ、私がもらうべきお給料の一部で買ったもの?私の頑張りは、ほとんどあの人に、派遣会社に吸い取られているの?

「もしかして、派遣会社は、私のお給料をピンハネしているの?」

答えがわからない、あやふやな疑問の渦に、感情もかき乱される。だったらこの際、徹底的に調べてみよう。派遣会社っていったい、どういうシステムで儲けているのかを。

公表されていた派遣会社のピンハネの実態

派遣会社のことを調べているうちに、「日本人材派遣協会」という団体に辿り着いた。750社を超える派遣会社が会員になっている業界団体みたい。そこで「派遣料金の内訳」というグラフを見つけた。(出典:一般社団法人日本人材派遣協会「賃金・社会保障」

私のように、フルタイムの派遣社員として働いている場合の、一般的な派遣料金の内訳。

  • ・70.0% 派遣社員賃金
  • ・10.9% 社会保険料
  • ・ 4.2% 派遣社員有給休暇費用
  • ・13.7% 派遣会社諸経費
  • ・ 1.2% 営業利益

派遣社員のお給料は、派遣先企業が派遣会社に払う「派遣料金」の70%。30%が派遣会社の取り分。派遣会社は派遣料金の30%をピンハネしてる!?

ピンハネされた30%の使い道

派遣社員の私のお給料、やっぱりピンハネされていました(挿入2)

派遣会社に対する疑いが晴れない。晴れないばかりか、ますます増していくばかり。私のお給料は、派遣料金の70%。派遣会社の取り分は、ピンハネしている額は、派遣料金の30%。もし派遣社員じゃなかったら、もし派遣先企業に直接雇われていたら。派遣会社がピンハネしている30%の派遣料金は、いったいどんな意味を持つのだろう。

■社会保険料

2ヵ月以上の期間、フルタイム勤務の私も社会保険に加入している。加入要件を満たしていれば、会社(事業主)は、対象の社員を社会保険に加入させる義務があるそうです。正社員であろうと、契約社員であろうと、もちろん派遣社員であろうと。

社会保険料の負担は、働く人と会社の折半で払うらしい。確かにお給料からは社会保険料が引かれている。折半だから、会社も私の保険料を負担する。私を雇っているのは派遣会社。グラフにあった「10.9% 社会保険料」は、私のために会社が払う社会保険料のこと。派遣会社が儲けるためのものではなかったんだ。

■派遣社員有給休暇費用

お休みなのにお給料をもらえる有給休暇。6ヶ月以上働くと、会社から有給休暇がもらえます。派遣社員の私も、もちろんもらってます。そして、先月有給休暇を使ったとき、ちゃんとお給料ももらえました。

「お休み、ゆっくり出来ました?うちはちょっと苦しいですけどね。笑」

何気ない担当さんの言葉。有給休暇を取ると、なんで苦しいだろ?担当さんの話では、有給休暇の日のお給料、全額派遣会社が払っているんですって。働いた分は派遣料金を請求出来るけど、有給休暇の日、仕事はしていないから派遣料金の請求はなし。一方で、働いていなくてもお給料は払う。

「4.2% 派遣社員有給休暇費用」は、派遣社員が有給休暇を取得した日のお給料に充てるためのもの。派遣会社の懐に入るのではなく、自分たちに支払われる予定のお金だったみたい。

■派遣会社諸経費

派遣社員の私のお給料、やっぱりピンハネされていました(挿入4)

社会保険と有給休暇の費用はわかったような気がします。派遣会社が儲けるためのものではなく、派遣社員を雇用していくために必要な金額。でも、13.7%もある派遣会社諸費用って?結構比率も大きくて、派遣社員のために使われているとも思えない。もしかして、派遣会社はここでピンハネをしているのかも。

・福利厚生費

福利厚生といえば、社員が安心して、快適に仕事が出来るように、会社が提供する様々なサービス。会社によって違いはあるものの、保養所やジムといった施設を割安で使えたり、冠婚葬祭のときの特別休暇など。派遣会社のことを調べてみると、派遣社員が安心して働くために、多かれ少なかれ、福利厚生サービスがありました。こうした制度を運営していくための費用。これってやっぱり、間接的には私たち派遣社員に対して使われているお金になるんですよね。

・教育・研修費

現在の仕事には満足しているけれど、将来を考えると不安もあります。なんとかキャリアアップしていきたい。そんなときに欠かせないのが、新しいスキルや知識を身に付けるための教育や研修の制度。「そんなのどうせやってないでしょ」って思ってたんですけど、どうやら違うみたいです。

派遣社員に対する研修の中には、法律で実施することが決まっているものもあるんですって。当然といえば当然ですが、その研修にはお給料も支払われる。法律で決まっているもの、決まっていないもの。いずれのものも、派遣会社が派遣社員のキャリアアップのために設ける研修制度を運営するための費用。これもピンハネにはあたらないのかなぁと思いはじめています。

派遣社員の私のお給料、やっぱりピンハネされていました(挿入6)

・派遣会社のオフィス・募集費・人件費

派遣会社の運営費にあたるのは?派遣社員を集めるための募集費や登録を行うためのオフィス、派遣社員をフォローしてくれるコーディネーターや営業の人件費。会社を運営するには、様々な費用が掛かるのは何となくわかります。

でも働いているのは私。だから、私が働いたことでもらえる派遣料金が、派遣会社のオフィスや人件費に使われるのってどうなの?って。でも、ふと思ったんです。コーディネーターさんや営業さん、いろいろやってくれてるなって。

派遣先と契約更新の交渉、お給料や勤務時間・残業などの就業条件の調整。この前、職場で困ったことがあったときには相談にのってくれて、問題を解決してくれたり。もし、派遣先の企業に直接雇われていていたら、派遣会社の人がいなかったら、こうした面倒な交渉や調整、全部自分でやるのか。そう考えると、派遣会社の人たちは、私が仕事をしていく上での「エージェント」。「エージェント費用」と考えたら、苦手な交渉や調整から自分を解放して、仕事に集中するために使われるお金。間接的にではあるけれど、自分のために使われているお金ってことなのかもしれない。

でも、もし、コーディネーターさんや営業さんが、自分の助けにならなかったら…。交渉や調整をしてくれたり、話を聞いてくれたりしなかったら…。そうしたら、派遣会社の人件費なんて、ピンハネ以外の何ものでもない。しっかりフォローしてくれるからこそ、派遣会社の運営費、少しは納得できるようになる気がします。

実は公開されているマージン率という名のピンハネ率

派遣社員の私のお給料、やっぱりピンハネされていました(挿入3)

私たち派遣社員のお給料は、派遣会社が受け取る派遣料金の70%。残りの30%を派遣会社はピンハネしている。これはある意味事実。でも、この30%の大部分の金額は、私たち派遣社員のために使われているのかもしれない。

派遣業界では、派遣料金に占める派遣社員のお給料以外の金額の比率を、「ピンハネ率」ではなく、「マージン率」と呼ぶんですって。そして、派遣会社(派遣事業所)毎のマージン率は、公開することを、法律によって義務付けられているんですって。

「派遣料金から派遣社員への賃金を引いた金額を割合で表すもの」
=「(派遣料金の平均額―派遣社員の平均額)/派遣料金の平均額」

会社が自分たちの取り分を公開するなんてないだろうって思っていたけど、派遣会社はそうではないみたい。逆に、公開するっていうことは、そんなに悪いこと、出来ないじゃんって。そういう意味では、安心じゃんって。私も早速自分の派遣会社のマージン率、確認してみました。そうしたら、ちゃんと公開されていました。

存在していた派遣会社のピンハネの実額

派遣社員の私のお給料、やっぱりピンハネされていました(挿入5)

ピンハネしているのでは?と思ってしまった派遣料金の仕組み。全て納得という訳ではないけれど、なんとなくその仕組みがわかってきました。結局、派遣会社の懐に残るのは、派遣料金の1.2%。これが派遣会社の営業利益率。時給1,400円と仮定すると、

派遣料金は1時間当たり2,000円、派遣会社の営業利益は1時間あたり24円。
ひと月に1日8時間×20日間働くと、派遣会社の営業利益は1ヶ月あたり3,840円

少し気になって、他の業界の営業利益率を調べてみたけれど、派遣業界の営業利益率って決して多くない。むしろ少ないくらいなのかも…。だからといって、派遣料金の30%もの金額は派遣会社のもの。ピンハネしてないなんて思いません。でもその30%、想像していたよりも派遣社員である私たちのために使われていることもわかりました。そして少しだけ心のもやもやが晴れました。

ピンハネを受け入れられるときがくるために

だからその気持ちが変わらないように、納得して派遣社員を続けていけるように。派遣会社の皆さん、どうか派遣社員の声に耳を傾けてください。派遣社員の声に真摯に向き合ってください。そうしたら、ピンハネしてても仕方がないって、少しのピンハネなら受け入れようって、今より思える日がくるような気がするので。

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