2017年10月04日

派遣社員でも取れる育児休業(育児休暇)の取得条件とは?

「派遣」でも取れる「育児休暇」の取得条件とは?(アイキャッチ)

 

注)この記事は、平成29年(2017年)10月1日「改正育児・介護休業法」の施行に伴い、平成27年(2017年)2月2日に公開された記事を再編集したものです。

派遣社員さんから育児休業(育児休暇)の申入れが…

ある中堅人材派遣会社の若手営業マンHくん。60人余りの派遣スタッフさんの担当営業として、走り回る毎日。そんなある日、派遣スタッフのKさんから相談を持ちかけられました…。

「Hさん、わたし、妊娠しました!」

突然の話にHくんはびっくり! それと同時に、なんだかとっても幸せな気分に。Kさんにとっては待望の第1子。是非、元気な子を産んで欲しい……そう素直に思いながらも、Hくんの脳裏には、Kさんの契約期間や今の職場の状況が浮かんできていました。

「Kさん、おめでとうございます! よかったですね!!」

「Hさん、ありがとう! 本当にうれしいです!! 絶対に元気な赤ちゃんを産んで、ちゃんと職場に復帰しますからね! だから、産前産後の休暇と育児休暇取りたいので、お願いしますね!!」

「・・・。んっ??」

Kさんの言葉を聞いて、Hくんはびっくり! 産前産後休暇? 育児休暇?? Kさん、派遣スタッフですよね……。派遣スタッフのKさん、産前産後と育児のふたつの休暇、取得することが出来るのでしょうか?

派遣社員でも取れる育児休業(育児休暇)

「派遣」でも取れる「育児休暇」が子育てを支える!!(廻込1)以前、派遣スタッフさんや契約社員の方々など、期間の定めのある雇用契約で働くひとは、育児休業(育児休暇)の取得は認められませんでした。ところが、平成17年4月に「育児・介護休業法」が改正されます。この改正によって、期間の定めのある雇用契約で働く人も、一定の条件を満たせば、育児休業(育児休暇)を取得することができるようになったのです。育児休業(育児休暇)は、1歳未満の子を育てるために仕事をお休み(休業)できる制度。1人の子供に1回、認められています。そして、その子を保育園に入れることができないなど、特別な事情がある場合は、1歳6ヶ月になるまで、さらに1歳6ヶ月後も保育園等に入れないなどの場合には、最長で子どもが2歳になるまで、休業期間をすることができます。また、この育児休業(育児休暇)は、女性だけでなく、男性も取得が可能なのです。

産前産後休業(産前産後休暇)や育児休業(育児休暇)は法律?

「産前産後休業(産前産後休暇)」も「育児休業(育児休暇)」も、その内容は法律によって定められています。「産前産後休業(産前産後休暇)」を定めるのは、労働基準法第65条。法律の定めですから、就業規則上での取り決めがなくても、取得することが可能です。一方、「育児休業(育児休暇)」を定めているのは、「育児休業(育児休暇)」は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」。申し出の決まりごとや、母親・父親が同時に取得する際の優遇のもありますので、要チェックです!

~「産前産後休業(産前産後休暇)」の法律定義~

労働基準法65条に定められている「産前産後休業(産前産後休暇)」の内容を以下に。

①使用者は、6週間(多胎妊娠=双児や三つ子などの場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
②使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない

「産前」の休暇は、本人が希望に応じ、産前6週間まで取得出来ます(出産当日を含む)。ただし、これは本人の希望に基づくものであるため、極端な話、出産の前日まで働くことも可能です。一方で「産後」の休暇は、本人の希望に関わらず、産後8週間の休業を与えなくてはなりません。例外が認められるのは、本人が請求し、お医者さんが就業に支障がないと認めた場合。この場合は、産後6週間を経過した後、就業することが認められます。

派遣社員が取れる育児休業(育児休暇)の条件とは?

「派遣」でも取れる「育児休暇」が子育てを支える!!(廻込2)ここまでで、派遣スタッフさんや契約社員の方々など、期間の定めのある雇用契約で働くひとも「育児休業(育児休暇)」を取得することが出来るということがわかりました。とはいえ、期間の定めのある雇用契約で働くひとが「育児休業(育児休暇)」と取得するには、二つ条件を満たす必要があるそうです。ではいったい、その条件とは何なのか?? ひとつずつ見ていきましょう。

条件その1 引き続き雇用された期間が1年以上であること

育児休業(育児休暇)を取得するには、「一事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である」ことが必要です。特に派遣スタッフさんはここ注意です! おなじ派遣元企業と「1年以上」の雇用契約があることが必要です。仮に派遣先が変更になっていても、おなじ「派遣元」であればOK! 逆に、派遣先を1年以上変わらずにはたらいていても、派遣元が変わってしまっていて、派遣元との雇用期間が1年に満たないと条件を満たすことが出来ません。また、年末年始やGWなど、大型連休の前と後で契約を分割している場合でも、実質的に継続していると考えることができます。

条件その2 お子さんが1歳6ヵ月になるまで雇用契約がなくなることが明らかでないこと

育児休業(育児休暇)を取得する二つ目の条件は、お子さんの誕生日がポイント。「子が1歳6ヵ月になる日の前日までに(2歳まで再延長をする場合は、子が2歳になる日の前日までに)、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと」ことが必要です。逆に、お子さんが1歳6ヵ月(再延長の場合は2歳)になる日までに労働契約期間が満了し、かつ、契約の更新がされないことが明らかである場合には、取得条件を満たすことは出来ません。よくわかんないという声が聞こえてきそうなので、それぞれのケースを、もう少し詳しく見てきましょう。

子が1歳6ヵ月になる日の前日までに、「労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らか」な場合

平成28年1月1日から3ヶ月更新の有期雇用契約で働いていたAさん。Aさんの会社では、3年以上の契約更新を行わないと、就業規則で定めており、契約書にもその旨記載があります。順調に契約更新を重ねながら、勤務していたAさんは、平成30年1月1日にお子さんを授かり、育児休業(育児休暇)の取得を申し出ました。ところが、Aさんの契約期間上限は、平成30年12月31日まで。お子さんが1歳6ヵ月になるのは、平成31年6月30日です。Aさんの契約においては、平成30年12月31日で雇用契約が終了することが明らかですので、育児休業(育児休暇)取得の条件を満たせないことになります。

子が1歳6ヵ月(再延長の場合は2歳)になる日の前日までに、「労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らか」でない場合

平成28年1月1日から3ヶ月更新の有期雇用契約で働いていたBさん。Bさんの仕事は、長期継続を前提としおり、3ヶ月契約を更新することで、勤務を続けています。順調に契約更新を重ねながら、勤務していたBさんは、平成30年1月1日にお子さんを授かり、育児休業(育児休暇)の取得を申し出ました。この時点で、Bさんの契約は、平成30年3月31日で一旦満了となってはいるものの、それまでは反復継続して契約更新をしてきており、且つ、契約期間の上限を定めることも、契約更新回数の上限も規定されていません。つまり、育児休業(育児休暇)の間に、契約満了日は到来するものの、契約更新がされないことは明らかにはなっていない(契約更新の可能性がある)ため、育児休業(育児休暇)取得の条件を満たすことになります。

明示されていない「契約更新」の可能性…

「派遣」でも取れる「育児休暇」が子育てを支える!!(廻込3)とはいえ、育児休業(育児休暇)申し出時点での雇用契約は、1歳6ヵ月(再延長の場合は2歳)になる日まではないし、契約更新の可能性だって特に明示されていない。こんな状態では、育児休業(休暇)取れないかな…と思ってしまうもの。それでも大丈夫です。あくまでも判断のポイントは、育児休業(育児休暇)の申出があった時点で、労働契約の「期間満了」や「更新がない」ことが確実であるか否かです。雇用契約があるかないかわからない状態であれば、二つ目の要件は満たすと判断されます。

育児休業(育児休暇)は派遣社員でも取れる!雇用形態は関係ない!

「育児休業(育児休暇)」は、働くひとが安心して「子育て」が出来るように定められた制度のひとつです。「働くひと」には、「正社員」も「契約社員」も、「派遣社員」もありません。一定の条件を満たしさえすれば、誰でも「育児休業(育児休暇)」は取得出来る支援制度です。残念なことに、きちんとした知識や情報を把握していないばかりに、育児休業(育児休暇)の取得を「認めない」という発言をされる方がいらっしゃるのも事実。そんなときは、是非、ここでお知らせした二つの条件を満たすか否か、ご自身でもしっかり確認をしてみてください。もちろん、個々の雇用契約の定めや会社の就業規則に則した判断が必要ですが、うまく支援制度を活用していきましょう。ご自分のなりの「ワークライフバランス」、子育てと仕事の「両立」を実現し、「キャリア形成」を実現出来たら、こんなに素晴らしいことはありませんよね。

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