人材派遣会社で働いているが故、転職を希望する、転職をしたことのあるITエンジニアの方々とお話する機会が多いのです。そこで、転職を決めた本当の理由を聞いてみると、、、
「〇〇したかったけど、前の職場ではできなかったから」
という回答が結構多数。これは黙っておくのはもったいないと、先輩エンジニアの転職理由から、これからエンジニアを志す皆さんが、就業先を選ぶときに注意すべきポイント探ってみようと筆をとることにしました。
「転職理由」≒「仕事選びのポイント」として、少しでも皆さんの参考になればと思います。
今回はサーバーエンジニア編として、サーバーエンジニアの転職理由で多い理由を列挙してみました。なぜサーバーエンジニアかといえば、それは、サーバー系のエンジニアに会う機会が多かっただけなのですが…汗。
スキルアップはサーバーエンジニアに限らず、IT技術者全般にいえることです。では、なぜそう思うのか?以下サーバーエンジニアがスキルアップを目指す理由、スキルアップを妨げる障害について見てみましょう。
「クラウドの技術を身につけたい」
クラウド系は特に人気が高く、最近ではオンプレミス環境でサーバー運用している方がクラウド系を経験するために転職に踏み切るケースが多かったです。AWS(Amazon Web Service)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)等の国内のパブリッククラウド市場は右肩上がりで急成長しており、今後も続くという調査結果もあり、サーバーエンジニアとして今後欠かせないスキル・経験だという認識が広がっているようです。
「監視から構築や運用、設計を経験したい」
サーバー監視からサーバー運用へ、サーバー運用からサーバー構築へというステップアップを転職理由に挙げる方も多いです。監視現場では監視ツールで定常監視、障害発生時は上位SEにエスカレーションという職場も多く、この環境ではステップアップは難しいため、転職理由にする方が多いです。サーバーエンジニアのミッシング・リンクあるあると呼ぶ方もいましたが。
「ネットワークの経験を積んでマルチなインフラエンジニアになりたい」
実際の現場では、サーバーの障害がネットワークの影響を受けていたりすることも多く、サーバーとネットワークは所謂「密」な関係。サーバーとネットワークは、相互に複雑に影響を与え合っている現在は、サーバーもネットワークもわかるマルチなエンジニアが求められています。それゆえ、サーバーエンジニアはネットワークを、ネットワークエンジニアはサーバーを、とインフラ全般の経験を身につける環境を求めて転職を考える方も多いです。
あらゆる仕事で労働の対価としていただくお給料。実際に手にするお給料とそれを決めるベースとなる評価は、技術の進歩が速いエンジニアの皆さんにおいては、自身のスキルをはかる最重要な指標のひとつです。
「希望給与に届かない」
サーバーエンジニアをはじめとしたIT技術者の場合、「技術スキルアップ=給与アップ」となることが多くシンプルです。但し、ここで考えておきたいのは、自分の技術スキルが、「お金になる(市場価値のある)技術スキル」かどうかということ。では、一体どうすればご自身の技術スキルが市場価値ありかどうか測れるのでしょうか?自分の技術スキルを測る手段としては、求人サイトでご自身の給与評価を確認する、いくつか人材サービス会社(人材派遣会社・人材紹介会社)に登録して紹介される案件の金額感を見てみるといった方法もあります。
「評価制度がない」
評価制度がないのは、、、論外です。。。が、実は結構多いというウワサも。
技術スキルの高低が給与額を決めがちなIT技術者。それ故、高時給案件に共通する技術スキルワードを検索して、学習を始める方もいます。但し、注意して頂きたい点がひとつ。給与アップを急ぐあまり、転職回数が多くなることです。特にインフラ職種で半年以内での転職は評価が下がり、給与がダウンする傾向があります。
「監視チームの人数に余裕がなくて夜勤が増えた」
「セキュリティ制限のためネット接続環境が限定されて不便」
「人の入れ替わりが多く、しわ寄せが残りのメンバーにきていて限界」
就業条件の改善は、なかなか難しいのが現状です。人の入れ替わりが多いプロジェクトにも、やはり原因があるものです。特に組織自体に問題がある場合は、現場の士気も上がりません。一朝一夕には変えられない環境に身を置いてしまった場合は、自らが職場を変えることで、環境の改善をはかることにならざるを得ません。
サーバーエンジニアの主な転職理由を大別すると「スキルアップ」「給与アップ」「環境改善」3つになることが多いようです。特に悩ましいのが、
「スキルupしたいがマシン環境がない、環境が違う」
「キャリアアップするための仕組みや意識が組織にない」
という問題。確かに開発系のエンジニアであればプロジェクト次第で他言語を経験するような経験の幅を広げることは可能です。ところが、サーバーエンジニア等のインフラ系エンジニアの場合、それは難しい。だって、「自社のサーバーOSが頻繁に入れ替わる」なんてないですよね?そのため、自分の経験範囲を広げるためには「職場を替える」「転職する」という選択になるのだと思います。
では、サーバーエンジニアが、失敗しないお仕事選びをするにはどうすればよいのでしょうか?
サーバーエンジニアやネットワークエンジニアといったインフラ系エンジニアがスキルアップできるかどうかは、就業先の環境が大きなポイントになります。就業先のマシン環境については、今の状況を確認することももちろん大切ですが、移行計画や増強計画の有無など、今後の計画についても確認しておく必要があります。特にリプレース等の入替や移行が計画されている場合、旧インフラ側の経験を活かしつつ、新インフラの経験も積むチャンス。新旧環境のメリットやデメリットを、仕事を通じ、肌で感じることができます。何より入替や移行の一連の流れを経験することは貴重な経験となります。
とはいえ、入替や移行といったプロジェクトは、スムーズに進まないことが多いのもサーバーエンジニアあるある。でも、スキルアップを実現するには臆することなかれ!その時は大変ですが、その分経験値は跳ね上がり、スキルアップが成就すること間違いありません。
転職のときに、決してないがしろに出来ないお給料。確認すべきは、時給や月給といった基本給だけではありません。基本給以外の手当等も忘れずに確認しておきましょう。スキルの裏付けとして取得した資格よって支給される資格手当、資格試験の受験料免除・受験料補助、合格一時金の支給有無等々、会社によって大きく異なりますので要チェックです。
次に体制面も注意ですね。例えば、サーバー監視の10年選手がゴロゴロいる職場等はどうでしょう?恐らく、サーバー構築やサーバー設計へ進むことはまず無理です。これまでにサーバー監視チームからサーバー構築チームに移った方がいるのかどうか。サーバー監視チームとサーバー運用チーム、サーバー運用チームとサーバー設計構築チーム等、チーム間の交流度も聞いておきたいポイントです。
人の入れ替わりについては、募集経緯を訊くことや人員の入れ替わりの有無・頻度等をストレートに訊くことでわかります。ポイントは、その状況を、プロジェクトマネージャー(PM)やリーダー等責任のある方が、問題と認識しているかどうか。更にいえば、対策を考えているのかどうかです。納得できる対策を打っている、打とうとしている場合は、他の条件が良ければ前向きに考えてもよいかもしれません。
体制面と言えば、プロジェクトの規模や会社の規模も気になるところです。大きな組織だとチーム分けが徹底されていて、最初に思っていたスキルアップやマルチな経験を積む機会が少なくなる可能性もあります。「大は小を兼ねない」ことがあるんですね。また、商流も気にしておくべきですし、評価方法も確認しておきましょう。
次のお仕事を慎重に選ぶことは非常に大事なこと。とはいえ、慎重になり過ぎるあまり、転職活動期間、所謂就業ブランクを作ってしまうことには注意が必要です。働きながら求職活動をすることはとても忙しいのですが、就業ブランクを作らない、極力短くすることも忘れてはいけません。選り好みすぎると・・・ですので、興味を持ったお仕事には、まず応募してみることが良いと思います。
いかがでしたでしょうか?サーバーエンジニアの転職理由、共感できる理由もあったのではないでしょうか?現状に不満が出てきたときは、自分のキャリアを見つめ直す良い機会です。転職する理由は次の仕事を選ぶ上でのポイント。また、自分の転職理由だけでなく、他の方々の転職理由を聞くことも、転職を成功させる秘訣のひとつだと思います。
こうして考えると、サーバーエンジニア等のインフラ系エンジニアの方々にとっては、「派遣」という働き方、 「あり」かなと思います。転職回数を増やさずに希望するサーバー環境・インフラ環境で経験値を増やす。職場を通じて人脈を広げる。スキルや経験を積み上げて、ゆくゆくはフリーランス・個人事業主として活躍したり、起業したりする。「人材派遣」という働き方を足掛かりに、そんな人生設計も「あり」だと思いませんか?