2014年10月07日

給料据置で手取り減少を引き起こす社会保険料のからくり

給料据置で手取り減少を引き起こす社会保険料のからくり(アイキャッチ)

心機一転出鼻を挫く社会保険料増額の罠

いよいよ下期です!今年の上期はまぁまぁだった…でも満足できる実績じゃない…。年間目標必達に向けて気合を入れ直して!そんな気持ちで迎えた10月給料日。こころときめかせATMへ!残高確認!!

「あれ?」

「なんで?」

「少ないんですけど…。」

急いで普段見向きもしない給与明細を開く…すると、少ない。手取りが減ってる。増えてるところは…「健康保険料」に「厚生年金保険料」!なぜ?給料増えてないのに?そんなことあるんですか?まさかね…ないだろ、ふつう!!!

思い起こせば4月、新たな支店に希望を抱えて…

振返ると4月、人事異動があったんです。ワタクシ、待望の本社へ!毎日毎日苦労して頑張った甲斐ありました。本社は今の支店より遠いけど、明らかに栄転なのですっ!給料は上がらなかったけど…通勤手当は上がるけど…でも、ここは会社持ちです。生活に影響なしなんです♪それでも手取りが減りました…増えたのは通勤手当…。

社会保険料決定の仕組み

給料据置で手取り減少を引き起こす社会保険料のからくり(廻込1)手取り減額をもたらした社会保険料。そもそも社会保険料は、給料の額によって決まるんじゃないの?なぜに社会保険料は上がるの?どんな仕組みで上がるの?給料は上がらなくても、社会保険料は上がるの?そんな理不尽なことあっていいのか?調べずにはいられません!

はじめの社会保険料はどう決まる?

はじめの社会保険料、これは社会保険にはいるときに決まります。例えば、はじめて会社に入社したり、転職したりしたとき。このときは、お給料の見込み額で決まる。見込み額とは?基本給や支払われるであろう残業手当、その他の手当等々を足した見込額を「標準報酬月額」の表なるもんに当てはめて決定するのです。

3ヶ月の報酬が1年間の保険料を決める理不尽

では、はじめに決まった社会保険料がずっと続くかというとそうではない。なんと年に1回、実際に支払われた報酬に合わせて改定があるんです。その対象になるのは、社会保険のうち、厚生年金保険料と健康保険料。通常は4~6月の3ヶ月間の給料によって決まってしまいます。ということは、4~6月に給料を沢山もらうと、1年間の社会保険料が高くなるということに…。ちょっと、ちょっと。うちの会社の給料、月末締めの翌月20日払いですよ。だから4月の給料は3月に働いた分。3月って年度末…1年で1番忙しい…。4月だってスタートダッシュで力んでた…めちゃめちゃ残業しちゃった…残業代、結構のってるのに…。あぁ、これえ社会保険料増額のシナリオ、完成です。

ここで…「標準報酬月額」って何よ!

標準報酬月額とは、「月額の報酬を報酬額に応じていくつかの等級に区分けしたもの」です。その標準報酬月額の区分に応じて、なんと、保険料が”自動的”に決まってしまうのです。厚生年金や健康保険の保険料は、この4~6月3ヶ月間の報酬の平均額を元に決定されから。これを標準報酬月額と呼ぶらしいのです。この標準報酬月額、毎年7月1日に決定されます。そしてこの標準報酬月額を、所定の表に当てはめてみると、晴れてその年の1年間の社会保険料が決定!そしてこの改定額、その年の9月から翌年の8月まで1年間利用されるのだとか…。3月・4月力いっぱい働いて、給料増えて喜んで、保険料増えて頭を垂れて、やっぱり人生山あり谷あり。

<Check1>この標準報酬月額、厚生年金と健康保険で分け方が少々異なりますので要チェックです…。

給料据置で手取り減少を引き起こす社会保険料のからくり(投稿内画像)

これだけでは足りない増額の誘惑

それなら4~6月の報酬額が必要以上に上がらぬように気を付ければいいんだっ!普通のひとならそう思います。いやいや、そうするに違いないです。ただし、その他にも保険料増額の誘惑は隠されていました…なんと、次の3つの条件が揃ったときは、給与の変更から4ヶ月目に保険料が改定になるんだとか。その3つの条件とは、、、

(1)基本給や月々の定額手当に変更があったとき(これを固定賃金といいます)
(2)変更後3ヶ月間の給与の平均額が、従前の「標準報酬」と比べて2等級以上変動したとき
(3)上記変更後の3ヶ月間、いずれも17日分以上の賃金が支払われているとき(こちら「20日以上」から「17日以上」に変更されたとのことです)

例え4~6月に報酬上がらないように気を付けたとしても、やはり固定賃金が上がってしまうとその保険料は適当かどうか検証出来る仕組みが組み込まれてます。基本給上がったり、手当が上がったりしてから3ヶ月、「標準報酬月額」を表に当てはめて、2等級以上変動していれば、晴れて保険料は増額される仕組みになっているのです!

給料の増減だけではない社会保険料増額の罠

さて、さて、ここまでやってきてやっぱり疑問。給料は上がってない、勤務先が変わっただけなのになんで保険料が上がったのか?その謎は、どうやら、報酬(固定賃金)そのものに何が含まれるかに、答えがあった。報酬とは、「賃金、給料、手当などの名称を問わず、労働の対償として受け取るもの全て」をいうのです。報酬の中に含まれるのは、基本給はもちろんのこと、残業手当、休日手当、皆勤手当、役付手当などなど。さらに、通勤手当、家族手当、住宅手当、食事手当なども報酬に。そうなんです、通勤手当なんです!本社に異動になって、通勤手当があがった!それもかなりの額で!これが給料据え置きのまま社会保険料を引き上げた「真犯人」だったのです!

<Check2>3カ月を超える期間ごとに受け取るものは報酬には換算されません。なので、年に2回支給されるボーナスなどは報酬に含まれないのです。
<Check3>退職手当や結婚祝金、出張旅費や出張手当なども報酬には含まれません。

結局手取りは減りました…でも「やる気」はお金じゃ買えません

給料据置で手取り減少を引き起こす社会保険料のからくり(廻込2)
ここまで調べて、やっと分かったことです…社会保険料は給料だけで決まるものではなかった…。純粋なお給料だけでなく、残業手当や通勤手当など、支給される様々な手当も、その算定には含まれるということ。会社は決して計算間違いしてないし、多く取りすぎていることもなかったのです…。ただ、なぜか腑に落ちません…でも、逃れる術もありません…。保険料を支払うことは、国民として当然のこと。文句を言っても始まりません。それでも、結局手取りは減りました。だけど栄転を手に入れた。未だに「やる気」だってみなぎっている。完璧な制度などある訳ないです。大人として、社会保険の仕組みを理解できたからよしとすることにします。

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