2022年03月14日

派遣で働く上で知っておきたい36協定の基礎知識

派遣で働く上で知っておきたい36協定の基礎知識

はじめに

この記事では派遣で働く上で知っておきたい36協定の基礎知識について説明します。

36協定は労働基準法に基づいた雇用主と労働組合(労働組合がない場合は過半数労働者代表)の間の取り決めのことで、残業時間と休日出勤について定めた協定です。
36協定は労働者を守るためにあります。

今回は36協定とは何か?から、36協定の具体的な内容、派遣社員の場合はどうなるのか?までを詳しく解説します。

派遣で働く上で大事な36協定のポイントをおさえておきましょう。

目次

※運営会社「日本リック」について
日本リックは1984年設立の総合人材サービス会社です。規模こそ大きくないですが、取引先企業や派遣で働くみなさんとの信頼関係を大切に、満足いただけるサービスを提供しています。
≫日本リックの派遣の紹介ページはこちら

36協定とは?

36協定とは?

36協定(さぶろくきょうてい)とは、残業時間と休日出勤について定めた労使間協定のことです。

36協定の正式名称は「時間外・休日労働に関する協定届」。
労働基準法第36条に基づく労使協定であることから「36協定」と呼ばれます。

使用者は労働者に法定労働時間(1日8時間・週40時間以内)を超える残業・休日出勤をさせる場合には、あらかじめ労使間で36協定を締結した上で、労働基準監督署へ届け出る必要があります。

36協定は雇用主と労働組合(過半数労働者代表)の間で、労働基準法に基づいて残業時間と休日出勤について取り決めたルールです。

36協定は労働者を守るための協定であり、「時間外労働と休日出勤は必要最小限にすべき」という考え方が前提にあります。

36協定で定められること

36協定では、時間外労働や休日出勤が発生する業務の種類、具体的な理由、時間外労働の上限、休日出勤の上限などが細かく定められています。

●36協定で定められること

時間外労働について
・時間外労働が発生する業務の種類
・該当する労働者の人数
・時間外労働が発生する具体的な理由
・時間外労働時間の上限(1日・1か月・1年など)

休日労働について
・休日労働が発生する業務の種類
・該当する労働者の人数
・休日労働が発生する具体的な理由
・1か月の休日労働日数の上限
・休日出勤時の始業時間・終業時間

上記の各項目について、労働基準法のルールの中で、雇用主と労働組合(過半数労働者代表)とで取り決めを行います。

会社ごとに36協定の内容が異なることに注意です。

36協定の時間外労働時間の上限

36協定で定めることができる時間外労働時間の上限は労働基準法で決められています。

時間外労働時間の上限
1か月に45時間以内
1年に360時間以内

この上限時間には例外措置がありますのであわせて確認しておきましょう。

36協定の特別条項(例外措置)

使用者は、繁忙期や大量受注・トラブル・クレーム対応などの理由で36協定の上限を超える労働が発生する場合に、「特別条項付の36協定」をあらかじめ届け出ることで、さらに延長した上限時間を設定することができます。

たとえば、次のような場合に特別条項が認められています。

特別条項が適用される例
・顧客トラブル・大規模なクレーム対応
・突発的なシステム導入・改修・不具合、緊急の顧客対応
・緊急・大量な書類作成、予算・決算業務
・大量受注・納期ひっ迫業務への対応 など

36協定の特別条項の時間外労働時間の上限

36協定の特別条項にも、労働基準法によって時間外労働時間の上限が定められています。

36協定の特別条項での上限時間
・1か月に100時間未満(休日出勤含む)
・1年に720時間以内
・月45時間を超えることができるのは年に6回まで
・2~6か月の時間外労働時間の平均は80時間以内(休日出勤含む)

(参考)36協定の特別条項の上限は2019年4月(中小企業は2020年4月)の労働基準法の改正時に定められました。以前は特別条項の上限を任意で決めることができたため、長時間残業を強いるブラック企業が社会問題になりました。そういった背景から、労働者を守る働き方改革として、特別条項についても上限が設けられるようになりました。

もし36協定に違反したら…

36協定は守ることが絶対であり、違反した場合は使用者が労働基準法違反として罰せられます。
(労働者への罰則はありません)

36協定はそれだけ労働者保護の観点から重要な協定になっています。

派遣社員の36協定はどうなる?

派遣社員の36協定はどうなる?

派遣社員の36協定はどうなっているのか?を説明します。

・派遣社員は派遣会社の36協定が適用される
・派遣社員の36協定についての具体例

順番に見ていきましょう。

派遣社員は派遣会社の36協定が適用される

派遣社員の場合は雇用主である派遣会社の36協定が適用されます。

派遣社員の労働時間の管理は、仕事の指揮・命令をする派遣先企業が行う決まりになっています。
派遣先企業は派遣会社の36協定を守った上で、派遣社員の労働時間を管理します。
そのため、36協定に違反した場合は派遣先企業が労働基準法違反となり、罰せられます。

もし、派遣会社が36協定を届け出てなければ、派遣先企業は派遣社員に残業や休日出勤をさせることはできません。

また、派遣会社に36協定があったとしても、派遣社員の就業条件で残業があることが明記されていなければ、派遣先企業は派遣社員に残業させることはできません。

派遣社員の36協定についての具体例

派遣社員の36協定について、具体例で確認しておきましょう。

(例1)
派遣先企業の36協定「残業時間の上限は月45時間」、
派遣会社の36協定「残業時間の上限は月40時間」の場合。

→派遣社員の残業時間の上限は月40時間まで。

(例2)
派遣先企業の36協定「残業時間の上限は月40時間」、
派遣会社の36協定「残業時間の上限は月45時間」の場合。

→派遣社員の残業時間の上限は月45時間まで。

(例3)
派遣先企業の36協定「残業時間の上限は月45時間」、
派遣会社が36協定を届け出ていない場合。

→派遣社員は残業なし(残業できない)

(例4)
派遣先企業の36協定「残業時間の上限は月45時間」、
派遣会社の36協定「残業時間の上限は月45時間」、
派遣社員の就業条件「残業なし」の場合。

→派遣社員は残業なし(残業できない)

まとめ

36協定は労働者を守るための労使協定で、労働基準法に基づいて残業時間と休日出勤について労使間でルールが決められていることを紹介しました。

派遣社員の場合は雇用主である派遣会社の36協定が適用されて、派遣先企業が運用・管理しています。

36協定の内容は使用者と労働組合(過半数労働者)が労働基準法の範囲内で決めるため、会社ごとに36協定は異なります。

派遣で働く際は「残業の有無」と「残業時間・休日出勤についての規則」をよく確認しましょう。

派遣の基礎知識について知りたい方は「初めての派遣ガイド」もあわせてご覧ください。

(参考)労働基準法 | e-Gov法令検索

マイキャリア無料メルマガ登録
マイキャリア無料メルマガ登録 未経験から始める事務 未経験から始めるインフラエンジニア 未経験から始める法人営業 日本リック新卒採用情報
人気記事ランキング