2022年03月28日

派遣社員にも適用される最低賃金について解説

派遣社員の最低賃金はどうやって決まる?最低賃金の基礎知識から解説

はじめに

この記事では「派遣社員の最低賃金はどうやって決まるのか」を説明します。

「派遣社員に最低賃金ってあるの?」
「派遣社員の最低賃金はどうやって決まるの?」

そんな疑問をお持ちの方に、最低賃金とは何か?から詳しく解説します。

この記事を読んで、派遣で働く上で知っておきたい最低賃金の基礎知識をおさえておきましょう。

目次

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最低賃金制度とは?

最低賃金制度とは?

最低賃金制度とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定めた制度です。

最低賃金の金額は、最低賃金法に基づいて国が時給で定めています。
最低賃金は雇用形態に関係なくすべての労働者が対象になります。

最低賃金は最低賃金審議会によって毎年見直されていて、毎年10月1日以降を目途に改定されています。

(補足)
最低賃金よりも低い賃金を、使用者と労働者間の合意の上で決めていた場合でも、最低賃金法により無効となり、最低賃金額以上の賃金が支払われます。
また、もし使用者が労働者に最低賃金を下回る賃金しか払わなかった場合、使用者に対して「差額分の支払い」と「罰金」が発生します。

2種類の最低賃金

最低賃金には「地域別最低賃金」と「産業別最低賃金」の2種類があります。

1、地域別最低賃金
2、産業別最低賃金

1、地域別最低賃金

地域別最低賃金は産業や職種に関係なく適用される、47の都道府県ごとに設定されている最低賃金です。

最新の地域別最低賃金の一覧は以下のページで確認できます。

地域別最低賃金全国一覧

2、産業別最低賃金

産業別最低賃金は特定の産業で働く労働者に適用される最低賃金です。
「特定最低賃金」とも呼ばれます。

次に当てはまる場合は産業別最低賃金が適用されないので注意です。

「特定(産業別)最低賃金」が適用されない労働者

・18歳未満又は65歳以上の方
・雇入れ後一定期間未満の技能習得中の方
・その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する方

(引用)最低賃金制度についての特設サイト(厚生労働省)

最新の産業別最低賃金の一覧は以下のページで確認できます。

特定(産業別)最低賃金全国一覧

2種類の最低賃金のどちらが適用される?

最低賃金には地域別と産業別の2種類の最低賃金があることをお話しました。

では、2種類の最低賃金のどちらも対象になる場合はどうなるのか?

地域別最低賃金と産業別最低賃金の2つの最低賃金に該当する場合は、2つの最低賃金を比較して高い方の最低賃金額が適用されます。

最低賃金の対象になる賃金

最低賃金の対象になる賃金は毎月支払われる基本賃金が対象です。

具体的には基本給と諸手当の2つです。

最低賃金の対象になる賃金
・基本給
・諸手当(※精皆勤手当、通勤手当、家族手当は対象外)

慶弔見舞金、ボーナス、時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金などの、臨時的・一時的・支給期間が空く賃金は最低賃金の対象外となります。

派遣社員の最低賃金はどう決まる?

派遣会社と雇用契約を結んで派遣先企業で働く派遣社員の場合の最低賃金はどう決まるのか?

結論から言うと、派遣社員の最低賃金は派遣先企業の最低賃金が適用されます。
(※派遣会社の最低賃金ではありません)

派遣社員の最低賃金の決まり方の例

派遣社員の最低賃金の決まり方について、次の例で確認しておきましょう。

1. 派遣会社と派遣先企業の地域が違う場合

A県在住の派遣労働者が、A県にある派遣会社に登録して、B県にある派遣先企業で働く場合。

→B県の最低賃金が適用される。

2. 派遣労働者、派遣会社、派遣先企業の地域がそれぞれ違う場合

A県在住の派遣労働者が、B県にある派遣会社に登録して、C県にある派遣先企業で働く場合。

→C県の最低賃金が適用される。

3. 派遣先企業の地域に産業別最低賃金がある場合

A県にある派遣会社から、B県にある派遣先企業で働く場合で、B県の産業別最低賃金に当てはまる場合。

→B県の地域別最低賃金と産業別最低賃金を比べて高い方の最低賃金が適用される。

※派遣社員の最低賃金は、居住地や派遣会社の住所にかかわらず派遣先企業の最低賃金(就業する事業所)が適用されます。

同一労働同一賃金について

大企業で2020年4月から、中小企業で2021年4月から施行された「同一労働同一賃金」により、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差が解消されるようになりました。

「同一労働同一賃金」では、派遣先で派遣社員と同じ仕事をする人と同じ待遇を目指した「派遣先均等・均衡方式」と、雇用元の派遣会社と過半数労働組合(組合がない場合は過半数労働者代表)との間で待遇を決める「労使協定方式」の2種類があり、派遣社員の賃金は派遣会社が採用している賃金決定方式によって決定されます

「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」いずれの場合でも、最低賃金を下回ることはありません。

最低賃金の確認方法

最低賃金の確認方法

最低賃金は時給換算して、地域別最低賃金、産業別最低賃金と比較することで確認します。

日給制や月給制の場合は時給に換算して比較します。

日給制の場合

日給制の場合は「日給÷1日の所定労働時間」を最低賃金と比較します。

(例)日給9,000円、1日の所定労働時間8時間の場合
9000÷8=1125

→時給1125円と最低賃金を比較する。

月給制の場合

月給制の場合は「月給÷1か月の平均所定労働時間」を最低賃金と比較します。

(例)月給200,000円、1か月の平均所定労働時間160時間の場合
200000÷160=1250

→時給1250円と最低賃金を比較する。

最低賃金を満たしているかを調べるには「最低賃金の比較チェックツール(厚生労働省)」を使うと良いです。

まとめ

最低賃金は雇用形態に関係なくすべての労働者の最低限の賃金を保証するための制度です。

最低賃金は最低賃金法に基づいて時給単位で決められ、年に1回改定されています。
また、最低賃金には地域別と産業別の2種類があり、2つが該当する場合は高い方の最低賃金が適用されます。

派遣社員の場合は、派遣会社ではなく派遣先企業の最低賃金が適用されるのがポイントです。

※大企業で2020年4月から、中小企業で2021年4月から施行された「同一労働同一賃金」により、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差が解消されるようになりました。現在、派遣社員の賃金の決まり方は「派遣先均等・均衡方式」「労使協定方式」の2種類があります。いずれにしても派遣社員の賃金が最低賃金を下回ることはありません。

(参考)
最低賃金制度特設サイト(厚生労働省)
賃金(賃金引上げ、労働生産性向上) |厚生労働省

派遣の基礎知識をまとめた「初めての派遣ガイド」もあわせてご覧ください。

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