2022年11月18日

派遣禁止業務があるのはなぜ?対象業務、理由、例外など詳しく解説

派遣禁止業務があるのはなぜ?対象業務、理由、例外など詳しく解説

はじめに

好きな仕事を選んで働けるのが魅力の派遣。
でも、派遣では働けない仕事があることを知っていますか?

実は、一部の仕事では求められる専門性の高さや、他の法律が適用される、業務遂行に関わる、などの理由から派遣では働くことができないと定められていて、これらを派遣禁止業務と呼びます。

今回はそんな派遣禁止業務について詳しく解説します。

この記事を読んで派遣の仕事選びの基礎知識をおさえておきましょう。

目次

※運営会社「日本リック」について
日本リックは1984年設立の総合人材サービス会社です。規模こそ大きくないですが、取引先企業や派遣で働くみなさんとの信頼関係を大切に、満足いただけるサービスを提供しています。
≫日本リックの派遣の紹介ページはこちら

派遣禁止業務とは?

派遣禁止業務とは?

派遣禁止業務とは、労働者派遣法によって定められている「派遣では働けない仕事」のことです。
派遣禁止業務の正式名称は「適用除外業務」です。

派遣禁止業務には、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療関連業務、士業の5つの業務が指定されています。

派遣禁止業務の一覧

派遣禁止業務の一覧

派遣禁止業務には次の5つの業務があります。

・港湾運送業務
・建設業務
・警備業務
・医療関連業務
・士業務

港湾運送業務

港湾運送業務とは、港湾での貨物の積み込み・積み下ろしや、港湾地域内での貨物運送、港湾地域内の倉庫での貨物の梱包・ピッキングなどの業務のことです。

港湾運送業務の例

・湾岸から船舶への貨物の積み込み、船舶から湾岸への貨物の積み降ろし
・船舶上での貨物の移動・固定
・船舶に積んだ貨物や船舶から降ろした貨物の荷造り・荷解き
・船舶に積んだ貨物を梱包・袋詰め、包装の修理等
・船舶や湾岸での貨物の積み降ろし場所の清掃
・船舶で運送された貨物の積み降ろし場所と港湾地域内の倉庫間での貨物の運送
・港湾倉庫内での貨物の荷解き・仕分け
・沿岸倉庫やその他地域からトラック・鉄道への貨物の積み降ろし

※港湾運送業務が禁止されているのは東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・関門の6大港など、厚生労働大臣が指摘する区域内です。

派遣禁止業務に定められている理由

港湾運送業務は日によって業務量が大きく変わることから、安定した人材確保が難しく、港湾労働法によって「港湾労働者派遣制度」という人材確保の制度が適用されています。
「労働者派遣法」とは別の法律が定めされているため、港湾運送業務は労働者派遣の禁止業務となっています。

建設業務

建設業務とは、建設現場や道路、橋などにおける建築資材の組み立て、運送、整備などの業務のことです。

建設業務の例

・建築現場での資材の運搬・組み立て等
・工事現場での掘削・埋め立て・資材の運搬・組み立て等
・コンクリートの合成や建材加工等(建築・土木工事現場での準備作業全般を含む)
・建築・土木工事現場内での資材・機材の配送(現場外からの資材の搬入は除く)
・壁や天井・床の塗装や補修
・建具類等の壁や天井・床への固定、撤去
・外壁への看板類の設置、撤去
・工事現場内での配電・配管工事、機器の設置
・建築・土木工事後の現場整理・清掃(内装仕上げ)
・大型仮設テントや大型仮設舞台の設置(簡易テント設営、パーティション設置、椅子の搬入、舞台装置・大道具・小道具の設置等は除く)
・仮設住宅(プレハブ住宅等)の組み立て
・建造物や家屋の解体

※現場で直接作業を行わない建設現場の事務員やCADオペレーター、施工管理などの仕事は派遣就業が認められています。

派遣禁止業務に定められている理由

建設業務は下請け構造の業態となっており、建設労働者の雇用の安定を図るための「建設業務労働者就業機会確保事業制度」という制度が適用されます。
「労働者派遣法」とは別の法律が定めされているため、建設業務は労働者派遣の禁止業務となっています。

警備業務

警備業務とは、公共施設や商業施設などの敷地内で事件・事故を防ぐ業務のことです。
建物・会場内での手荷物検査や、巡回、誘導、運搬中の金品等の監視などの業務が該当します。

警備業務の例

・会場や店舗の入口での手荷物検査
・不審者や迷惑者への注意の促し、質問
・建造物内や会場内の巡回・巡視
・混雑する場所での雑踏や駐車場等の整理、人や車両の誘導
・犯罪者を追跡、捕まえる
・運搬中の貴重品・金品等の監視
・防犯通報に対して待機する
・無人の時間帯・状態時の常駐(当直、夜間窓口等)
・警備室・警備関係者受付窓口等の施設への常駐

派遣禁止業務に定められている理由

警備業務は「警備業法」よって、自らの責任において業務を遂行することが定められおり、派遣における業務の適正実施の観点から、派遣禁止業務になっています。

医療関連業務

医療関連業務とは、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士などの業務のことです。

医療関連業務の例

・医師
・歯科医師
・薬剤師
・保健婦
・助産婦
・看護師
・准看護師
・栄養士 など

※医療事務などの施術を行わない医療関連業務であれば派遣就業ができます

派遣禁止業務に定められている理由

適切な医療を提供するためには情報連携や各専門医によるチーム医療が原則であり、雇用主側の意思決定で労働者を採用する必要があるため、医療関連業務は派遣禁止業務に定められています。

医療関連業務の例外

医療関連業務は派遣禁止業務に定められていますが、以下の場合は派遣で働くことが認められています。

・派遣先で正社員や契約社員になることを前提にした紹介予定派遣で働く場合
・病院や診療所以外の社会福祉施設などで働く場合
・産前産後休業・育児休業・介護休業中の労働者の代わりに働く場合
・へき地・離島の病院など、都道府県が必要と認めた医療施設で働く場合

士業務

弁護士や外国法事務弁護士、司法書士などの士業では派遣が禁止されています。

士業務の例

・弁護士
・外国法事務弁護士
・司法書士
・土地家屋調査士
・公認会計士
・税理士
・弁理士
・社会保険労務士
・行政書士
・建築士事務所の管理建築士 など

※公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士などの業務では、資格を保有しているなどの場合で派遣就業が認められているケースがあります。

派遣禁止業務に定められている理由

士業は業務特性上、依頼人から委託された業務を自分の意思決定で行う仕事のため(指揮命令を受けて働くものではないため)、派遣禁止業務に定められています。

※上記で紹介した5つの派遣禁止業務の他に、人事労務管理関連の業務のうち、派遣先での団体交渉や労使協議の際に使用者側の当事者として行う業務も派遣就業が禁止されています。

派遣禁止業務に違反した場合どうなる?

「もし派遣禁止業務で就業したらどうなるのか?」

派遣禁止業務に労働者を派遣した派遣会社に対して、懲役や罰金などの罰則規定があります。
また、派遣会社に業務改善命令や業務停止命令が下る場合があります。

派遣禁止業務で労働者を受け入れた派遣先企業に対しても、是正勧告が行われたり、「労働契約申込みみなし制度」が適用される、などの場合があります。

参考:労働契約申込みみなし制度の概要(厚生労働省)

まとめ

今回は派遣禁止業務についてお話しました。

派遣禁止業務とは、業務の専門性・他の法律が適用されること・業務の特性上の理由などにより、派遣では働くことができない業務のことです。
派遣禁止業務は港湾運送業務・建設業務・警備業務・医療関連業務・士業務の5つがあります。

また、医療関連業務において例外的に派遣就業できる場合があることや、派遣禁止業務に就いた場合どうなるのか、についても紹介しました。

「一部の業務は派遣では働けないこと」をぜひ覚えておいてください。

その他の派遣の基礎知識については「初めての派遣ガイド」もご覧ください。

参考:
労働者派遣事業関係業務取扱要領(厚生労働省)
労働者派遣事業を行うことができない業務は(厚生労働省)
労働者派遣の禁止業務(一般社団法人日本人材派遣協会)

マイキャリア無料メルマガ登録
マイキャリア無料メルマガ登録 未経験から始める事務 未経験から始めるインフラエンジニア 未経験から始める法人営業 日本リック新卒採用情報
人気記事ランキング