2015年02月09日

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(アイキャチ)

派遣から正社員への転換手法として「紹介予定派遣」が注目

「紹介予定派遣」、知ってますか?「紹介予定派遣」は、2000年12月の「改正労働者派遣」により解禁された派遣システム。派遣スタッフとして一定期間(最長6ヶ月)働いた後、派遣スタッフと派遣先企業が合意した場合、双方が直接雇用(正社員・契約社員)を結ぶことを前提とした「派遣システム」です。

アンケートに見る「紹介予定派遣」の真実

求人サイトを運営する「エン・ジャパン」。2014年10~11月に「紹介予定派遣」に関するアンケートを実施しました。このアンケートによると、実に71%の方が、「紹介予定派遣」について、「名前も意味も知っている」という回答。結果からみると、すっかり社会的にも認知された働き方であるようです。

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(挿入1:認知)

働く側から見た「紹介予定派遣」のメリットとは?

それでは、この「紹介予定派遣」という働き方、いったいどんなメリットがあるのでしょうか? その魅力を、同じく「エン・ジャパン」のアンケート結果から見てみましょう。

▼質問 紹介予定派遣の特徴で魅力を感じることは?
「直接雇用になる前に、社風や職場環境が確かめられる」(74%)
「最長でも6ヵ月で派遣から直接雇用に切り替えられる」(64%)
「最長6ヶ月」の派遣期間があるので、即正社員の求人より採用されやすい」(34%)

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(挿入2:魅力)

▼質問 紹介予定派遣で働いてみたいか?
「はい」(81%)

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(挿入3:就労希望)

▼紹介予定派遣で働いてみたい理由は?
「正社員になれる可能性が高そう」(49%)

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(挿入4:就労理由)

この結果を見ると、かなり多くの方が、「紹介予定派遣」を通じ、正社員として働くよりよい職場を選びたいといった声が聞こえてきます。「紹介予定派遣」を希望する理由には、派遣期間中、「派遣先企業に、直接仕事ぶりや人柄を見てもらえる」ので、といった声もあります。面接という限られた時間だけではアピール出来ない…口下手でうまく伝えられない…そんな方でも仕事を通じて、自身の魅力を存分にアピール出来る。この点は、直接雇用を目指す方々にとって、大きな武器になると考えている方も、数多くいらっしゃるようです。 ”

復活を遂げた「紹介予定派遣」での就業者数

アンケートの結果からも、派遣スタッフのみなさんに、好意的に受け入れられていることがわかった「紹介予定派遣」。それでは、実際の就業者数はどうでしょう? ここ数年、アベノミクスによる経済政策の追い風にのって、企業の採用意欲も高まって来ています。この影響が、統計数値にも現れてきているようです。

日本人材派遣協会の統計調査によると、「紹介予定派遣」の実稼働者数は、2014年5月以降顕著に増加し、2014年12月時点の実稼動者数7,658人。なんとこれ、2008年に同協会が調査を初めて以降、最も多い人数なんだそうです。この数字を裏付けるように、「紹介予定派遣」の成約件数も、2014年第4四半期には、毎月1000人超。これも調査開始以来最高の件数で、四半期合計3,468件。この実績、2009年第4四半期の数と比較すると、実に倍以上の件数に到達しています。

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(挿入5:稼働人数)

そして、「エン・ジャパン」のアンケートによれば、「紹介予定派遣」で就業したことのある方のうち、実に63%もの方が、紹介予定派遣の派遣期間の終了後、派遣先企業へ転籍し、直接雇用に切り替わっているそうです。”

転籍実現の前の「紹介予定派遣」スタートに立ちはだかる高いハードル

アンケートによると63%の方が、派遣先との直接雇用を実現している「紹介予定派遣」。それでは、「紹介予定派遣で仕事が決まるのか?」という点ではどうでしょうか?この点においては、公的な統計データなどはありません。ただし、一説によると、「紹介予定派遣」の成約率(仕事に対してスタッフがアサインされ、就業を開始する数)は、30%程度とも言われています。この数字は、通常の派遣のお仕事の成約率と比べると、格段に低い数字です! 6割を超える方が直接雇用を実現できる「紹介予定派遣」。ではいったい、なぜ、3割程度の案件でしか成約することができないのでしょうか?

紹介予定派遣をはじめるハードルが高い理由

「事前面接」が実施されるという現実…

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(廻込1)「紹介予定派遣」では、通常の派遣では禁止されている「事前面接」が認められています。公に面接が認められている以上、当然に、「履歴書」や「職務経歴書」といった応募書類も提出し、選考に臨むことになります。通常派遣は、労働力提供であるが故に許されなかった派遣先企業の「労働者の特定行為」が、紹介予定派遣では認められています。そうなると、当然に派遣先企業も、通常の派遣よりもずっと慎重で厳しい。派遣期間終了後は、自ら直接雇用を行うことが前提にありますから、必然的に選考のハードルは上ってしまうのです。

「評価」できる一方で、「評価」されるという現実…

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(廻込2)派遣スタッフの多くの方が、「紹介予定派遣」の魅力のひとつに、「直接雇用になる前に、社風や職場環境が確かめられる」ことを挙げています。働く側にとって、雇用契約を結ぶ前に、社風や職場環境が自分に合うかどうか、確認できることは大きな魅力です。でも、裏を返せば、自分が職場を評価している期間、派遣先企業からは、仕事振りを徹底的に観察・評価されるということ。面接でアピールした経歴やスキル。そのひとつひとつが、アピール通りの実力をもっているか?職場での戦力として期待値に到達しているか?他の社員との協調して仕事を進めているか?など。派遣期間を通じて、常に派遣先企業が、仕事ぶりを評価することにもなるのです。

どこが「採用権限」を持つかという企業の事情…

派遣先企業における、直接雇用の採用選考ルートにも注目です。企業にもよるのですが、「人材派遣」を、外部から労働力調達という考え方から、購買部門が窓口となって対応することも多々あります。一方で、雇用形態に関わらず、自社で社員を採用(直接雇用)するとなると、人事部門が登場してくることが、かなりの比率であります。労働力の調達であれば、購買部門と現場でカタがつくことも、直接雇用となると、人事がからむ。もちろん、その会社の採用規定や人事・育成方針など、派遣で労働力を調達するのとは違ったしがらみや制度が存在します。また、社内の諸事情だけでなく、人事部門を窓口とした採用選考(面接・試験等)が行われることも。仕事振りが現場で認められても、社内の採用規定をクリアしないと採用候補にすら、なれないことも少なくありません。

絶対にあってはならない「派遣会社」の事情…

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(廻込3)「紹介予定派遣」のハードルには、派遣会社の事業もあるかもしれません。派遣会社は、派遣スタッフの皆さんに、仕事をしていただくことで、ビジネスを成り立たせています。継続的に働いてもらうことで、毎月の売上・利益を受け取っています。ところが、「紹介予定派遣」では、派遣期間は最長6カ月。派遣期間が満了すれば、いくばくかの紹介料は得ることが出来るものの、コストをかけて獲得・育成した派遣スタッフは、派遣先企業に雇われてしまいます。当然に、派遣スタッフと派遣先企業の直接雇用後は、売上はゼロ。派遣スタッフの「キャリア形成支援」という大きな社会的役割を担う、人材派遣会社にとっては、あるまじき考え方ではありますが、もしかすると、そんな事情も潜んでいるのかもしれません。もちろん、そんな派遣会社は、近い将来、必ず淘汰されること、間違いないのですが。

派遣期間中に双方が見極め出来る制度

正社員を目指すあなたへの「紹介予定派遣」の真実(廻込4)「紹介予定派遣」は、働く側の派遣スタッフ、雇う側の派遣先企業双方が、お互いを評価し、見極めることの出来る採用システムです。雇用する前に、仕事ぶりを評価される点は、厳しい面もありますが、お互いに相思相愛になれば…直接雇用された後は、精度の高いマッチングが実現します。そのため、互いに納得感をもった上で働くことも出来そうです。イメージや思い込みだけで働き始め、「こんなはずじゃなかった…」なんて言うことはなくなるかもしれません。この「紹介予定派遣」というシステム、派遣スタッフ・派遣先企業共にハッピーになれるよう、その性質をよく理解して、上手に活用してもらいたいものです。

紹介予定派遣の実情を見てきたけど、全ての人が正社員を望んでる?

ここまで、派遣スタッフから正社員(直接雇用)への転換方法のひとつ、「紹介予定派遣」の実情をみてきました。数多くのメディアでは、派遣スタッフを含む、非正規雇用の負の部分が声高に叫ばれています。しかし、この世で働く全てのひとが、一様に正規雇用、つまりは正社員を望んでいるのでしょうか?

もうすでに「働き方」は多様化している現実

経済産業省が2013年に実施した「若年者雇用実態調査」結果があります。この調査では、「非正規」で、且つ、「現在在学していない人」に対してひとつの質問を投げかけています。その質問とは、「今後どのような働き方を望んでいるか」。この問いかけに対し、約半数は「正社員として働きたい」と回答しています。裏を返せば、残りの半数は、「正社員で働くこと」を希望していないということになります。また、2014年に実施した、日本人材派遣協会の派遣スタッフアンケート。このアンケートにおいても、実に67.0%の方々が、「当面希望する働き方」に派遣を選択しています。こういった非正規を望む多くの方々は、働く「時間」や「期間」、「場所」といった点を重視しています。派遣やアルバイト、パートといった非正規に括られている働き方は、それぞれの事情を反映した「ワークライフバランス」の実現に、大きく寄与しているとも言えるのではないでしょうか?働くことの価値観が多様化した現在。「正規」・「非正規」どっちがいいか?といった議論ではありません。ひとりひとりが事情を踏まえた、自己実現を図れる働き方を、選択出来るようになっていきたいものです。

参考記事
女性の転職情報サイト [en]ウィメンズワーク アンケート結果
日本人材派遣協会 2014年07~09月労働者派遣事業統計調査結果
・日本人材派遣協会 2014年度「派遣社員WEBアンケート」結果

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